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ニュースレター
2016/11/02

NO.28 熱傷から顔面を守ろう - Face Saver

管理者用
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救出現場で

火災はファーストフードのキッチンからガス漏れ爆発によるものだった。逃げてくる被災者を即座に地面に横たわらせ救助診察にかかった。初期評価では患者に意識喪失、首の痛みや呼吸困難の訴えもなく、認知力は正常で、人・自分のいる場所・時刻・身の回りにも正常な認識を示した。
外傷評価では、肺には今のところ問題はないが、顔面全体と頭頂部がⅡ度熱傷で覆われ水泡の中には破れたものもある。眉毛は焦げ、顎と頬のひげは焼けている。両腕は肘から手指までがⅡ度熱傷に覆われており体表面積(TBSA=Total Body Surface Area)の約18%が熱傷している。患者申告で痛みは10段階中の10で、血圧=138/90、脈拍=120、呼吸数=20、SPO2=96%である。
素早くウォータージェルフェイスマスクで顔面を覆う。目鼻口部には、開放部を設けてある。腕の熱傷部はウォータージェルドレッシングで覆われ救急車に運ばれた。車内では点滴が施され、急速輸液が始まる。ウォータージェルドレッシング処置後、患者の痛みの評価は10から8に下がった。患者は最終的な治療のため、熱傷治療センターへ搬送された。

病院での治療

到着し救急隊が短く報告。この時点で患者にそれ以上の訴えがない。しかし負傷の性質上、患者は呼吸器、頭部のCTスキャン、頚部と腹部などの診察を受けるが、初診以上の負傷は見つからない。ERチームが熱傷用被覆材ウォータージェルを取り除き、熱傷部を診る。顔面はきちんと覆われており、熱傷の進行は見られない。他の部位でウォータージェルで十分に覆われていなかった部位はまだ熱く、水ぶくれが大きくなっている。これが痛みのもとのようだ。
熱傷は抗生物質を含んだガーゼで覆われ、患者は治療のために入院する。患者は熱傷部をデブリされ、ガーゼで覆われた。形成外科医はウォータージェルで覆われていた部位と、覆われていなかった部位の治癒の違いに驚いている。患者には皮膚移植の必要もなく、7日後に退院した。

考察

病院までの熱傷の救急処置には緒論がある。プロトコルは熱傷をガーゼで覆い滅菌水をかけ気化で冷やした後、滅菌した乾燥シートで覆えと言われてきた。この方法では冷やし過ぎにより患者が低体温症になる懸念があった。低体温化では血液凝固を妨げる。そこで一時期には、ドライガーゼを当て、クリーンシートで覆うことに変更したが、これでは熱傷部を冷やさず、熱を閉じ込めていまうので熱傷部位を拡大させてしまう。

熱傷は冷やさないと表面・深部ともに進行する。Ⅰ熱傷がⅡ度熱傷になりⅡ度熱傷がⅢ度熱傷になる。一部のⅡ度熱傷とⅢ度熱傷では、熱傷で失われた皮膚の代わりに皮膚移植が必要になり、結果としてより大きなに熱傷痕を残すことになる。

ウォータージェルのような湿潤型熱傷被覆材は、世界中で熱傷の危険性の高い作業現場で使用されている。産業施設では熱傷治療所を設け、こうした応急処置材を常備しているところがたくさんある。

ウォータージェルは、熱傷部を気化熱で冷やすのではない。ウォータージェルは対流によって熱傷部のみを冷やす。熱は熱傷部からジェルに転送され、熱傷のみの温度を降下させジェルを通して熱エネルギーを大気へ開放する。深部体温を低下させないので低体温症を発症させることはない。地域のプロトコールによっては、ウォータージェルの使用をTBSAの25%までに制限しているところもある。TBSA≧25%の場合、まず顔や手などQOLに大きく影響する部位を優先し、続いてプロトコールで許されたリミットまでそのほかの部位に用いるように奨めている。

熱傷は冷やさなければ、痛みのコントロールはできない。流水で冷やせば薬剤を使わず痛みを軽減できる。しかし大量の清潔な水が必要で、患者搬送までの限られた時間しかできないという問題がある。熱傷の熱を吸収し無菌環境を維持するように特別にデザインされた、あらかじめ湿らせた被覆材を使用することは、乾いた被覆材より痛みを軽減する効果が高い。

ERでは診察するために、患者のガーゼは取り除かれる。この時ガーゼに貼りついた皮膚組織が取り除かれてしまうことがあり、しばしばひどい痛みを伴う。ウォータージェルなら熱傷部位を冷却するだけで付着しないので、この問題は回避できる。

結語

熱傷をすぐに冷やせば進行を止め、痛みは和らぐ。付近に熱傷治療センターのあるなしに関わらずEMSは医療施設やヘルスケア施設と討議し、プレホスピタルでの熱傷処置の選択肢を再考すべきだ。
適切な用具、訓練、そして患者ケアのプロトコールがあれば、熱傷患者のために、熱傷を正しく冷やしつつ低体温症を回避し、痛みを和らげてあげることができる。

( JEMS December 2016, P.20-21 Face Saver より抄訳 )