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2018/06/22

NO.49 横向きへの動き(Lateral Trauma Position)

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A LATERAL MOVE
横向きへの動き

外傷患者のための新しい体位?

文献:ハイルドモ PK、ホロディスキー M、コンラッド BPら(2017) 「外傷患者のための新しい横向きの体位は、ログロールと比較して、不安定な頚椎損傷により多くの動きを引き起こすか」米国救急医療学会誌(American Jounal of Emergency Medicine) 2017;35:1630-1635
科学:文献の内容
著者らは、従来からあるログロール中に発生する頚椎の動きの程度を、"lateral trauma position(外傷側臥位)"と呼ばれる外傷患者を横向きの姿勢に寝かせる技法と比較した。
神経外科医が死んで間もない死体5体を用い、5番目と6番目の頚椎の間にある全ての靭帯を切断することで、不安定な頸椎損傷を作り出した。体を動かした際に起こる不安定な頚椎の動きを測定するために、頸椎の上および周囲に電磁トラッキング装置を取り付けた。死体は仰臥位に置かれ、救急隊員らが頚椎カラーを装着し、身体をログロールさせるか、または死体をlateral trauma position(外傷側臥位)の姿勢へ動かした。二つの手法において、頚椎の動きに有意な差は見られなかった。

lateral trauma position 実施中

lateral trauma position 完了

ウェスリー医師の論評

救急医療の初期の時代から、私たちは外傷患者をログロールしてバックボードに乗せ、仰臥位で搬送するように教えられ、実験もされてきた。仰臥位では、意識がない、あるいはほとんどない受傷者が嘔吐した場合、喉を詰まらせるリスクは増加する。このとき、気道をクリアにするためには、単に受傷者を転がし横向きにすれば良い、とこれまでは薦められてきた。

しかし、これは実用的ではない。
複数の救助者がいない場合には、やれそうにない。一旦搬送が始まると、受傷者の向きを変えることは、そう簡単にはできないものだ。
二次救命処置(ALS)の提供者は、仰臥位の受傷者の気道を確保することは可能かもしれないが、一次救命処置(BLS)の提供者が気道閉塞の場合に使えるのは、吸引具や気道補助具を備えたバッグバルブマスクだけだ。一次救命処置の最善の技術があっても、低酸素症を発生する可能性は非常に高い。

この論文は我々に代替手段を提供している。外傷側臥位(lateral trauma position)は、我々が救急隊員として教えられた回復体位によく似ている。唯一の違いは、受傷者の手を頭の下に置く代わりに、枕やタオルで頸椎カラーを装着した頭と首を支えることだ。
横向きの受傷者の気道を吸引することは、はるかに容易だ。
この体位での搬送は、背骨にとって、ログロールをすること以上のリスクにはならない。枕と毛布を組み合わせれば、受傷者を安全にバックボードに固定できると私は確信している。この技法は全てのトレーニングプログラムで採用されるべきだ。

ウェスリー救急救命士の論評

私は新しいアイデアを、いつも歓迎する。受傷者を横向きにすることは、良い代替案のようだ。受傷者を側臥位に似た体位に保って、頚椎を中立な位置に保つために枕などを用いることは、理にかなっている。 外傷側臥位だとウェスリー医師が述べたように、受傷者の吸引および気道管理はかなり容易になる。

ログロールは安定した姿勢を意図したものではなく、傷病者を
ボードに載せることを容易にしたり、気道確保のための動きである。
外傷側臥位は、改良されたストラップを使い、頭を安定させ、枕などを適宜あてることで、搬送に活用される可能性はあると思う。

研究は死体を用いて行われ、作られた損傷は正確に定義されていた。実際の受傷者で同じタイプの損傷を引き起こし得る外傷は、非常に重傷である。受傷者はおそらくNAEMSP(National Association of EMS Physicians:全国救急医療医師協会)がその意見表明(position statement)で発表した5つのカテゴリーのいずれかに該当するだろう。(*1)
1.鈍器による外傷、意識が正常でない。
2.脊髄に痛み、あるいは過敏。
3.神経学的な愁訴(例えば、感覚の麻痺または動きが弱い)。
4. 脊柱が解剖学的に変形。
5.高いエネルギーの介在による損傷と次のいずれか:薬物または
アルコールで酩酊/コミュニケーションができない/牽引損傷。

この場合、NAEMSPは受傷者をバックボードに載せることを推奨している。はっきりと特定していないが、それは患者を仰臥位にすることを意味する。NAEMSPは外傷側臥位を、どんな場合に容認できると意見表明するのか知りたいものだ。
いったん救急隊員のための手技が開発されれば、これは脊髄損傷にとって最良の、新しい体位かもしれない。


*1「救急隊員が脊髄損傷で注意するべき点とロングバックボードの使用について:NAEMSPの意見表明と米国外科医による外傷委員会のための資料」 Prehospital Emergency Care.2014;18.306-314
(JEMS FEBRUARY 2018, A LATERAL MOVE より抄訳)

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