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ニュースレター
2019/07/30

NO.59 緊急事態におけるボランティアの活用

管理者用
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Leveraging Volunteers During Emergent Events
緊急事態におけるボランティアの活用
ファーストレスポンダーのための実用的なプロトコル

ブラッドフォード・ニューベリーMPA NRP、ティモシー・フォックスMS、アニタM・シャーMS、シェーン・シュレイバーMSMDS、マイケルR・ケントMPA、Det.Capt.マイケル・ライバーMS、Rear Adm.アンソニー「ジャック」ボートMA、モバラク・アル・マルヒムMD MBA FRCPC(EM&CCM) 著 

JEMS Fri,Apr 19, 2019掲載

 

大量死傷者事件(MCI)の現場に最初に到達するプロのレスポンダーは、複雑で圧倒的に困難な情況に直面する。十分に調整が行き届いた対応であっても、プロのレスポンダーが同時に負傷者全員を処置できない可能性もあり、トリアージを行って被害者の優先順位を付けなければならない。
そのギャップを埋めるために、自発的なボランティアが勇敢に声を上げることがしばしばあるが、その勇気と決意は、既に混乱して困難な情況の複雑さを増すことが多い。最近の大量死傷者事件で、ボランティアに、様々な方法で支援する意図があることがわかった。事件の対応で追加支援を得ることは、人命救助に役立つ可能性がある。しかし、プロのレスポンダーの現行の方針や訓練では、一般人を巻き込み、助けを借りることを奨励はしていない。

IPR(Initial Professional Responder)を、「事件現場に最初に到着した、専門の訓練を受け法律的にも認められたレスポンダー」と定義する。通常は、警察か消防署、または救急医療機関に所属する。複雑な事件現場に到着すると、IPRは、すぐにボランティアや被害者の注目を集め、頼るべき正当な責任者、専門家として認識される。
これは、IPRチームにとってかなりのストレスとなる。IPRチームは非常に困難な状況下で、指揮をとり、意思決定を行い、情報提供することが期待される。IPRが意思決定を行って事件現場を効果的に管理できるよう、混乱に秩序をもたらすシンプルで直接的な方法が必要である。
ボランティアによる援助の価値が認識されて、ボランティアの訓練と活用を目的とした様々な取り組みが始まり、簡単で効果的な医療技術が開発され活動が組織された。その中には「Stop the Bleed(出血を止めろ)」「Be the Help(助けになろう)」「Until Help Arrives (助けが来るまで)」などがある。
プロのレスポンダーに実施される現行の訓練は、現場から自発的なボランティアやバイスタンダーを立ち退かせ、大量死傷者事件の対応の複雑さと責任を軽減することに焦点を置いている。このアプローチでは自発的ボランティアの現実を認識しておらず、IPRチームはボランティアの提供する技術や潜在的な支援を活用することができない。ボランティアは、テロ事件から自動車事故、大量避難など様々な緊急事態の初期対応において重要である。これらの事件では、プロのレスポンダーは「誰が助けになるか」を理解する必要がある。

ボランティアを活用するためのプロトコル

ハーバード大学のNPLIチーム(National Preparedness Leadership Initiative危機的な状況におけるリーダーシップを研究)は、緊急事態におけるボランティアの問題を研究した。彼らはIPRチームが「自発的なボランティア」の能力と支援を、うまく管理し活用するための簡単なプロトコルを学び訓練されれば、良好な成果を上げられると確信している。成果とは、大量死傷者事件や他の緊急事態での死傷者を減らし、犠牲者をもっと早く避難させ、現場管理をより効果的に行うことである。この取り組みの成功の鍵は、プロのレスポンダーがボランティアに関する知識を身につけ、効果的に支援を調整するプロトコルを開発し、そのトレーニングを支援することである。
ボランティアは様々な理由から現場で手助けをするが、その動機に関係なく、技術、能力や意欲に大きな違いがある。「自発的ボランティア」(SV)は、IPRチームが到着した時点ですでに何らかの手助けをしている。 「意欲的なボランティア」(WV)は近くにいるかもしれないが、参加する機会を待っている。現場には支援できない、あるいはその意図がない人々もおり、彼らは「バイスタンダー」に分類される。彼らもプロトコルを使って対処でき、意欲的なボランティアの効果を最大化し、受動的な傍観者の影響を軽減することができる。 (図1を参照)

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プロトコルの記憶と実装を容易にするために、段階を描写する暗記テクニックとして「SCAN」を作った。
•Safety(安全性): ボランティアを活用して、安全か?
•Call for assistance(援助を求める): 「誰か手伝えますか?」
•Assign tasks and duties(タスクと業務を割り当てる)
•Network(ネットワーク): 情報を伝え更新して、人々に状況を知らせる

プロのレスポンダー、ボランティア、被害者、そして一般人の安全が第一に重要である。危険物が介在する事件の危険区域付近や、依然として暴力行為が活発な現場だ。このような場合はプロのレスポンダーでさえ、リスクを考慮し、事態がさらに悪化しないように適切な行動を取る必要がある。現場がボランティアにとって十分に安全になったら、IPRチームは直ぐに意欲的なボランティアを活用し、既に犠牲者の援助を行っている自発的なボランティアを支援することを考えるべきだ。
援助を求める簡単な呼びかけ(例えば、「誰か手伝えますか?」)はおそらく、かなりの量の追加のサポートを引き出すだろう。これまでの研究が示すように、70%以上の場合、ボランティアは誰かに頼まれなくても、介入して援助を行っている。
さらに一連の簡単な質問をすることで、ボランティアの分類が始まる。一旦分類ができると、ボランティアのグループにそれぞれ、スキルと能力に適したタスクを割り当てることができる。 「ボランティアトリアージ」という用語は、ボランティアを評価してタスクを割り当てる際の簡単な手順を描写するために作られた。
NPLIチームの調査は、大量死傷者事件の初期段階で最も必要なタスクを特定した。ボランティアには状況や事件に応じて、様々なタスクを割り当てることができる。簡単に説明するために、ボランティアのスキルと能力に基づいて、タスクを大まかに医療支援、現場の安全、一般的な現場サポートの3つのタイプに分類した。(図2と図3で、ボランティアトリアージのプロトコルの概要を示す。)
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ボランティアに割り当てることができるタスクは以下のように、多種多様である。現場の安全と出入りの管理、出血の制御(例えば、ターニケットの装着)、負傷者の避難、備品や装置を届ける、新たな危険や脅威の出現を見張る、記録を取る、交通整理、写真撮影や現場の記録(例えば群衆や車両)、および捜索の手伝いなどがある。
訓練されたレスポンダーの組織に任せた方がよい作業もある。それには証拠の収集、潜在的に有害な廃棄物の除去、容疑者の拘束、その他の技術的に困難な作業が含まれる。

ボランティアを管理しているプロのレスポンダーは、情報、励まし、援助を与えるために、ボランティアとのネットワークを保ちコミュニケーションを継続しなければならない。これは、状況認識の共有を生む。犠牲者とボランティアはこれによって何が起こっているかをある程度理解でき、結果として危機対応がより効果的に進み、彼らが受ける心理・感情的な負担も軽減される可能性がある。

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