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ニュースレター
2020/03/10

NO.65 救急サービスにおける手、腕、肩の過剰使用による負傷の予防

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Preventing Overuse Hand, Arm, and Shoulder Injuries in EMS
救急サービスにおける手、腕、肩の過剰使用による負傷の予防

著者: ロバート・デヴィッチNRP、ジョン・フォウラーMD NRP=認定救急救命士、MD=メディカルドクター

JEMS Jul 30, 2019掲載

序文:救急医療サービスプロバイダーの仕事には、傷病者や担架、 その他多くの物を頻繁に持ち上げて移動させることが含まれる。
何かを持ち上げることは、救急提供者の体に大きなストレスをかける。米国疾病管理予防センター(CDC)の2016年の調査によると、全米で2万人を超える救急隊員が、業務に関連した負傷のために病院の救急部門や診療所を訪れた。
これらの負傷のうち、40%以上が何かを持ち上げて動かすことに関連していた。担架を掴んで持ち上げる動作を何度も繰り返すことで、救急提供者の手、手首、肘、肩の酷使を避けられない。

●救急医療サービスにおける手、腕、肩の典型的な病態:
職場でよく発生する腕の負傷に対する認識を高めるために、下記の負傷リストを提示する。
トリガーフィンガー:狭窄性腱鞘炎のことで、指の屈筋腱に影響する。
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎):腱鞘炎の一種、親指側の腱に影響する。
上腕骨外側顆炎:「テニス肘」と呼ばれる上腕骨外側上顆炎
上腕二頭筋炎:上腕二頭筋の長頭の炎症
肩の骨液包炎と肩インペジメント症候群:肩の滑液包の炎症で発生し、痛みが生じ、動ける範囲が狭まる。
肩の負担と裂傷:肩の筋肉や腱が過度に延ばされる、あるいは裂ける。

●これらの問題の対処方法
グリップ
外傷を迅速に調べて傷病者の具合を評価することから、傷病者死亡後に遺族を励ますために肩に触れることまで、救急隊員は手を様々なことに使用する。
救急隊員の手に、傷病者を持ち上げ運ぶ時、特に負担がかかる。
担架の持ち上げで何年も同じ筋肉群にストレスをかけると、手と手首の筋肉組織が摩耗する。この磨耗や裂傷が、前述した状態に至ることも多い。
怪我を防ぐには、プロバイダーの手の置き方と握り方に注意を向ける必要がある。救急隊員が大きな重量を持ち上げる時には、強力なグリップを使う必要がある。
担架を持ち上げる時は、パワーグリップを使用するべきだ。これが担架を持ち上げるのに最も効果的なグリップである。プロバイダーの手のひらは上向きになっているべきだ。担架のハンドルや端の部分を手の平の上に置き、指でハンドルを完全に包む。担架のハンドルや端が指の先端に来ないように、手のひらでしっかり支えるようにする。
適切なフックグリップのデモンストレーション
フックグリップは握りをより安定させるために、パワーグリップを変化させたものだ。フックグリップは重量物を持ち上げる際のグリップを安定させ、手の疲労を防止するために、パワーリフティングで使用される。
フックグリップはパワーグリップに似ているが、ハンドルを握る手の親指がバーに密着し、指が親指の周りを包む(図1を参照)。このグリップはバックボード、スクープストレッチャー、フレキシブルストレッチャーなどのデバイスを使用する時に最も効果的である。
このグリップは指にかかる負担を軽減し、手に分散する。非常に大柄な傷病者を持ち上げる時、または手が疲労している時は、このグリップを考慮するべきだ。
担架を持ち上げる時は、担架のコントローラーへのアクセスを保つために、手の平を上に向けたグリップにする必要がある。
しかし軟らかいまたはフレキシブルな担架を持ち上げる時や傷病者を移動させる時には、手の平を下に向けたグリップが最も効果的だ。手の平を上に向けたグリップの場合、持ち上げる時に上腕二頭筋に余分に荷重がかかる。手の平を下に向けたグリップは上腕二頭筋にかかる圧力を軽減し、持ち上げる重量の負担が腕全体の筋肉組織に効果的に分散する。
腕の位置
強力なグリップを確保した後、救急隊員は腕の配置に集中する必要がある。このステップを踏むことは、全身の負傷防止に役立つ。
両手を常に肩幅と同じぐらいの位置に離し、担架を地面から持ち上げる時は、肘をほとんどまたは全く曲げずに腕を伸ばして、約180度の角度に保つ必要がある。
担架が地面から上がった時、肘はできるだけ曲げないままで、上腕二頭筋に過剰な負担がかからないように気をつける。この時、体幹、脚、腰、および僧帽筋を使うよう心がけ、荷重を体全体に分散する必要がある。また、持ち上げた物体の重量を評価し、物体を持ち上げ立ち上がるまでの間、安定した姿勢を維持できない場合は、援助を得るべきだ。
担架を救急車の後部に入れる時は、同様のステップを踏む。この場合も、荷重が体全体に分散させる。腕が180度に近い角度から始め、なるべく曲げないようにして担架を救急車の後部に入れる。
全身の準備を整え、持ち上げる動作に集中するために時間をかけることで、1つの筋肉群に負担が集中することを防ぎ、より広い範囲に荷重を分散させる。これによってより重い物を安全に持ち上げ、負傷を防ぐことができる。
怪我の防止
腕の怪我を防ぐには適切なフォームが重要だが、怪我は適切な食事と運動を、組み合わせることで根絶できる。
運動することで、筋肉がより大きな負荷を受ける準備が整う。
運動を通して筋肉によるエネルギーの活用が向上し、筋肉疲労が減少し、筋肉が太く強くなり、より大きな重量を持ち上げられるようになる。
適切な食事をとって自分の体重を減らせば、体はより効率良くエネルギーを利用できる。多くの怪我は筋肉が疲労した時に起こるので、適切な栄養指標を満たす食事が非常に重要になる。

●結論
救急医療サービスにおける腕の怪我は日常茶飯事だが、見過ごされることが多い。問題解決プロセスの一部は、まず問題が実際何であるかを特定することだ。 救急隊員たちは常時腕を使い、関連する筋肉にストレスをかけている。
救急隊員は、傷病者を持ち上げなければならないという日々の現実を変えることはできない。しかし、傷病者をどう持ち上げるかを変えることはできる。一般的な腕の怪我を理解し、適切な持ち上げ方を学ぶために時間をとることは、救急医療サービスにおける腕の怪我の防止に役立つだろう。


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