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ニュースレター
2021/06/11

NO.82 救急蘇生の特殊な状況

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救急蘇生の特殊な状況

著者:マイク ハドソン(サンディエゴ郡 (CA) およびデンバー市および郡 (CO) の救急救命士)

病院前の医療提供者、特にテクニカル救助チームに任命された医療提供者は、特殊な蘇生措置や医療介入を必要とする特別な状況の心停止に遭遇する可能性がある。

サスペンショントラウマと挫滅症候群
サスペンショントラウマとは、長時間動かずにハーネスまたはロープシステムで吊り下げられた傷病者を含み、理論的には、病態生理は挫滅症候群と似ている。この症例の心停止の原因は、傷病者の解剖学的肢位と、血流や胸郭の拡張を妨げるハーネスに掛かった体重の両方によって、適切な呼吸ができず、重要臓器への循環が不足し起こると推測される。心停止の他の原因としては、傷病者がハーネスから突然解放されたときに急速に酸性の血液が戻って外傷性横紋筋融解症に至ることが挙げられる。残念ながら、全身性アシドーシスがある場合には、外傷性心停止からの生存の可能性はさらに低くなるが、特にサスペンショントラウマまたは圧迫損傷によって引き起こされる心停止からの生存率に関するデータはない。傷病者が蘇生されると、数日後に何らかのレベルの腎不全または凝固障害の可能性が高くなる。
推奨事項:傷病者が心停止の状態にある場合、ハーネスからの脱出を遅らせてはならない。逆に言えば、心停止前後の蘇生は、最も重大な挫滅損傷を伴う救出前に始まる。傷病者がハーネスにいる間に生命徴候を示した場合、救急救命士レベルの救護者は、吊り下げられた傷病者を解放する前に、時間が許せば、等張液と重炭酸ナトリウムの急速静注/IO投与を考慮してもよい。傷病者が完全に心停止した状態で救出した場合、その場で蘇生させる。ALS要員は、アシドーシスに対処し、腎不全を予防するために積極的な輸液蘇生を考慮すべきだ。救急救命士は、重炭酸ナトリウムと塩化カルシウムを投与し、全身性アシドーシスと高カリウム血症を中和することができる。これらは、傷病者の心電図のピークT波および/または異常に広いQRSによって識別できる。

低体温
寒冷および湿った環境に長時間さらされると、低体温症から心臓の電気システムの障害が派生し心肺停止を引き起こす可能性がある。心停止は、摂氏30℃未満の深部体温で発生することがほとんどだ。心臓が体外式除細動や薬物療法に反応しない可能性が高く、深部体温が32.2℃から34.4℃を越えるまでは、心臓が反応しない。したがって、致命的な難治性リズムを改善しようと、連続的な積極的除細動およびエピネフリンの迅速な反復投与は勧められない。無効な処置を繰り返す前に低体温を考慮し再保温する。
AHA ECCの推奨事項:
被害者をその環境から隔離し、積極的な加温処置を開始する。可能であれば、その場でCPRと加熱酸素で適切に蘇生させる。AEDの早期適用は依然として推奨されるが、低体温症に起因する心室細動はショックに対抗するためである可能性がある。連続的除細動は傷病者が復温されるまでは奨励されない。体温にかかわらず慎重な除細動が推奨される。ALS要員は、心臓より近位の部位でIV/IOアクセスを開始し、温かい静注輸液を投与すべきだ。
心停止蘇生中に「アフタードロップ」として知られる症候は考慮しない。傷病者が温まって新陳代謝が改善するまで、エピネフリンを3~5分毎に連続投与するなどの積極的な薬物療法は重視しない。30分以内に自己心拍再開(ROSC)が得られなくても、このケースでは長時間の蘇生努力が適応となる。

電気ショックと雷撃
自然または人工の電気による心停止は、主に電流が正常な心機能を妨げることによって引き起こされ、ときに致死的な不整脈または広範な内部組織損傷を引き起こす。超高電圧損傷または落雷による蘇生例では、医療提供者は傷病者が破滅的な内的外傷を受けたことを強く疑うべきだ。落雷でも頭や脊髄の損傷が起こる可能性がある。典型的には、大部分の高電圧損傷は、何らかの種類の重大な熱傷を外傷、内傷、またはその両方を負っている。
推奨事項:被害者を危険から遠ざけ、環境要因だけでなく、現場の安全にも特に注意を払う。心停止中には抗不整脈薬が適応となることがあり、ALS処置を早期に優先する。適切な場所で蘇生し、30分後にROSCが認められない場合は治療の終了を考慮する。必要に応じて脊椎固定を考慮する。ROSCが得られた傷病者は、医師の指示がない限り、熱傷センターへ搬送する。電気熱傷の大きさによっては、蘇生後の予防的輸液投与が適応となることがある。傷病者が蘇生された場合、たとえ傷病者が無反応だったり、化学的に麻痺していても、疼痛管理薬の投与を忘れてはならない。

ダイブ事故
スキューバダイビング事故後の心停止の原因は、溺水につながる意識消失を引き起こす動脈ガス塞栓症(AGE)による肺循環障害または脳血流障害の可能性が最も高い。肺のAGEによる心停止は、生存率がゼロに近い。救急隊員は傷病者を気道管理を効果的に行う体位にする。また、該当する場合、高圧チャンバーのために被害者の潜水プロファイルを得ることも重要だ。
推奨事項:乾いた地面で蘇生を行い、適切なBLSとALSを30分行ってもROSCが認められない場合は、治療の中止を考慮する。Diver's Alert Network(DAN)は潜水事故の選択の体位は仰臥位を推奨している。ROSCが得られた場合、または搬送が指示された場合、選択する目的地は人工高圧室を備えた病院とする。米国では原則として、ほとんどのダイビングチャンバーは、心停止の傷病者を受け入れず、治療も行はない。行き先やチャンバーの位置を決定する際のDANの支援は、病院前の医療提供者や救助チームにとって非常に貴重な情報源だ。

結論
米国のEMSシステムにまだ浸透している全体的なコンセンサスは、依然として搬送が心停止の現場管理より優先されるということだ。AHAからの推奨事項と同様に、数多くの研究は異なる方法を示している。SARS CoV-2の出現により、搬送は救急提供者にとって生命を脅かす状況になっている。適切な酸素投与と早期のAEDを組み合わせた質の高い中断のない胸骨圧迫の組み合わせは、特別な状況下では大きな違いをもたらす可能性がある。傷病者蘇生の鍵は、早期に、できれば傷病者が血液循環ができなくなる前に、心停止の原因に対処することだ。
一般的に言えば、心停止に陥った傷病者は、現場の安全と環境が許す限り、その場で蘇生すべきだ。外傷により誘発された心停止の搬送は、外傷センターがレベルII以上にランク付けされ、現場から10~15分以内である場合は、最近より優先されるようになった。通常とは異なる状況下で救急隊員などEMS提供者は心停止に対応する際には、心停止に至った可能性のある事象を考慮し、搬送の優先度と可能性を決定すべきだ。
病院は高度な治療とより高いレベルの集中治療を提供するが、質の高いCPRを犠牲にして、搬送を優先することは、ROSCにつながらず、非外傷性心肺停止のほとんどの症例では傷病者の生存率を改善することにもならない。

 

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